わたしは自分の振り袖を持っていません。
というのも、母と叔母のお下がりがあったので、家族もわたしも、「せっかくあるのだからもちろんお下がりを着るだろう」と、それ以上・以下の考えがなかったからです。
小さい頃から、七五三などの行事では、家族に着物を着せてもらっていたわたし。お祭りやお盆の浴衣も含みます。
着物や浴衣が自宅にあることも、家族に着せてもらえることも、それが特別なことだとは思っていませんでした。
成人式の前撮りでも、その感覚は変わらず、「振り袖を着られて嬉しい~♪」「着せてもらってありがとう~♪」とおそらく強くは思っておらず、あんまり覚えていないのです…
30代になってやっとそのありがたさ、重みを噛み締めております。
(ちなみに、山形の地元では、雪深いという理由から、成人式はお盆の時期に行います。成人式はワンピースで出席しました。)
★二十歳の振り袖。不機嫌顔が恥ずかしい。
「着物は3代着られる衣装」と聞いたことがあります。
保管状態もさることながら、昔の人よりも、背丈や手足が長くなっている日本人には、
2代目、3代目ではお直しが必要になるのかな、と感じます。わたしも、母や叔母の着物のうち、礼装用で多くの人に見られるものは仕立て直しをしました。
母と叔母の振り袖は、2代目がわたし、娘の背丈が極端に伸びなければ、3代目もそのままの形でいけるかと思いますが、どうなることやら。
そういえば、我が家にも3代の役割を果たせた着物がありました。
わたしが7歳の七五三で着た着物です。
★写真がこちら。目を見開いているのが謎ですが(笑)、ポーズも決めて、おすまししたかったのだと思います。
話を聞くと、この着物は、祖母の嫁入り衣装を、叔母の代(2代目)でこどものサイズに仕立て直したそうです。
3代目のわたしも無事に着られ、娘が7歳になる4年後に、4代目の役割を果たせそうです。
ばあちゃんの嫁入り衣装か~。
わたしの知りうる限りの、祖母の歩んできた人生と重なり、感慨深いものです。
祖母は、若い頃は和裁と洋裁を学び、色んな洋服を仕立てたことが自慢。農家に嫁ぎ、早くに旦那さんを亡くした後も、さくらんぼを一生懸命育ててきました。今は、軽度の認知症で、週に3日デイサービスに通っています。認知機能の衰えがあっても、着物のことはわたしより詳しいし、祖母なりにはっきりと答えてくれます。
あぁ、ブログを書く通勤電車で泣けてくる…
ひとつの着物を紐解くと、色んなストーリーが見えてきて、収集がつかなくなることもありますね。
そのストーリーをそっと胸におさめて、わたしができることは、
わたし自身が着物ライフを楽しみ、
娘にも、かつてのわたしがそうだったように、「着物?着せてもらって当然じゃん」位のノリで、着物を楽しんでもらうことなのかと思っています。